イントロダクション
いつでも、どこの国でも、
新米教師はツライよ
教えるってなに? 学ぶってなに?
ロシアのとある地方都市、
ここには“教育”が抱える問題の
縮図がある─
大都会モスクワから、地方都市の学校に赴任したふたりの新米教師
その毎日の泣き笑いを見つめる
エカテリーナとワシリイはモスクワの大学を卒業した新米教師。ふたりは理想を胸に、見ず知らずの地方都市の学校に赴任する。エカテリーナは文学、ワシリイは地理の先生として。だが、すぐにその理想は崩れていく。授業中に勝手に発言する生徒や話を全く聞かないクラス、教師同士の人間関係、日々の授業の準備。山積する仕事に「理想の教育」は霞んでいくのだった。果たして、情熱を持ち、新しい教育を目指したふたりの新米教師の行く末は?
“教えること”の理想とギャップ
世界中の先生たちが共感する
「教師あるあるドキュメンタリー」
本作はロシアという一国にとどまらない、教育システムや教師の働き方のギャップに迫ったドキュメンタリーだ。教室の中にカメラを据え、教師と生徒の一挙手一投足を見つめる。そこには、世界中の教師たちが共感するに違いない、「教えること」の日々の営みがつぶさに記録されていた。翻って日本は? 大幅な「教員不足」が大きなニュースになったこの国で、先生たちの声なき声が本作から聞こえてくるはずだ。
プーチン政権により閉鎖に追い込まれた
「Radio Free Europe/Radio Liberty」ディレクターが描く、
多様な発言と意見が飛び交う場としての教室
その、ありのままの姿
本作からは一面的ではない、大国ロシアの姿も見え隠れする。生徒たちの発言も自由で活発だ。
「僕はドネツク出身」、「ウズベク語で“人間”は?」、「先生は昔からいるお婆さん先生と違う」、「教師は夢と希望だけじゃ務まらない」、「文学の先生は愛国教育で僕らに落第点をつけた」、「社会主義死ね」、「国家は人々に帰属すべきだ」などなど、政治や社会情勢、恋愛や性、ジェンダーの問題・・・多様な意見が溢れ出す。本作の監督はプーチン政権により閉鎖に追い込まれた「Radio Free Europe/Radio Liberty」でディレクターとしても活動する、ユリア・ヴィシュネヴェッツ。
日々、ウクライナ侵攻というニュースが流れるロシア。しかし、そこには様々な葛藤を抱えつつも、暮らし、学ぶ人々の姿があることもまた事実だ。
ディレクター
ユリア・ヴィシュネヴェッツ Yulia Vishnevets
1980年3月生まれ。モスクワを拠点に活動する映画監督、ジャーナリスト。
ドキュメンタリーのストーリーテリングを通して社会を探求することに情熱を注いでいる。モスクワのRadio Free Europe/Radio Libertyのスタッフフィルムディレクターとしても活動中。彼女の関心は幅広く、社会的排除から個の独自性、紛争、そして人々が周囲の環境からどのような影響を受けるかにまで及ぶ。ウクライナ紛争の両側面を描いた彼女の最初の長編ドキュメンタリー映画『House on the Edge』(2016)は、モスクワの有名なドキュメンタリー映画祭Artdocfestを含み、ロシア、ドイツ、米国で多くの上映が行われ、Currenttime.tvチャンネルに購入されるまでに至った。
- フィルモグラフィー
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- 【短編作品】
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- 2017年 「Adoption」(24分 ※長編ドキュメンタリーとして制作中)
- 2017年 「Marriage」(24分)
- 2018年 「A Game」(14分)
- 2018年 「Tatyana’s List」(24分)
- 2019年 「A woman and a killer」(24分)
- 2019年 「You are a medicine」(24分)
- 2019年 「Girls from Gypsy Camp」(34分)
- 【中編作品】
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- 2016年「House on the Edge」(50分)
ドキュメンタリー映画祭Artdocfest(モスクワ)正式出品
ドキュメンタリー映画祭Novaya Gazeta documentary festival 正式出品
- 2016年「House on the Edge」(50分)
- 【長編作品】
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- 2020年『ヘィ!ティーチャーズ!』
ドキュメンタリー映画祭Novaya Gazeta documentary festival 正式出品
2020年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭正式出品作品
2020年クラクフ映画祭正式出品作品
2020年香港国際映画祭正式出品作品
- 2020年『ヘィ!ティーチャーズ!』
コメント・海外評
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モスクワから地方の街にやって来た二人の理想に溢れた教師を追った観察映画。
思春期と反抗期真っ只中の生徒を相手に、教師たちは苦戦する。Business Doc Europe
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ロシアの公共教育システムは、自分を犠牲にしてでも、生徒たちの学力と生活の向上を望んでいる教師の理想をも壊してしまう。その姿を、鋭く皮肉的に捉えた作品だ。
クラクフ映画祭
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ここにおいても、ロシアの文化を観察することに退屈はしないだろう。学生と教師たちの絡み合いが興味深い。
INDEBIOSCOOP
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映画のように魅入ってしまうけれど、ドキュメンタリーなんです。リアルな1年間を描いたもので、リアルに勝つものはないんだなと思った。何をしても、想像通りにうまく行くことは、現実ではとても難しい。
それでも、主人公たちは、一生懸命に子供たちに向き合って、身を削って、頑張っていくことを見守りたくなる、そんな映画です。ジェーニャさん(声優・歌手・タレント)